前国王が晩年の頃、彼女は警護隊の副隊長だった。当時の隊長は自分が決めたことに対して真っ直ぐで貫き通す強さがあり、彼女も彼を尊敬していた。どこまでもついていくつもりでいたが、ソールの王位継承が正式に決まった際に「父の意思を継いで国を安定させろ」と発言していたのを聞き、心が揺らぎだす。

ソールが大規模な改革を考えていることを知っていた彼女は、隊長の想いが、考えが、必ず障害となるときがくると確信した。心を決めた後の戦場で、重傷を負った隊長を彼女は助けず見殺しにした。

それが良いことだとも悪いことだとも彼女は考えていないが、それ以来、権力者が暴走した際は自分が止めようと強く決めている。